高齢者・障害者支援センター委員会
●日弁連「高齢者社会対策標準事業」への取り組み
高齢者・障害者支援センター 委員長 小此木 清
- 第1 2011年度の活動計画
- 第2 平成22年1月から12月までの委員会活動報告
- 第3 群馬弁護士会メンバーの高齢者問題への活動を期待する
●高齢者問題について
- ① 目標
- ② 高齢者問題の現状
- ③ これまでの取り組み
- ④ 今後の課題
●日弁連「高齢者社会対策標準事業」への取り組み
高齢者・障害者支援センター
委 員 長 小 此 木 清
第1 2011年度の活動計画
1.「高齢者社会対策標準事業」について
- 群馬弁護士会は,中規模弁護士会であり,本委員会メンバーも多重会 務状態で,新規事業実施には困難が伴う状況にある。しかし,高齢者の アクセス障害(身体,判断能力)の改善が求められており,高齢者専門法律相談実績が伸び悩んでいる相談窓口の活性化は急務である。
- 日弁連では,「高齢者社会対策標準事業」案を策定したので,群馬弁 護士会・高齢者障害者支援センターにおいても,次のとおり活動計画を 準備し実行していく予定である。
2.出張相談
- 来館相談にあっては,高齢者専門相談頻度が少なく,活性化していない。そこで,出張相談の可否を判断する電話相談が有用となり,来館・出張相談ともども検討課題となる。
- そして,高齢者の自宅出張へのリスクの克服にあたり,地域包括支 援センター,社会福祉協議会等の相談拠点への出張相談を標準事業として実施する方向である。
- さらに,福祉の専門家からの相談需要が存在することから,同人らを対象とする法律相談と医療・福祉機関,社会的支援者と連携し,情報交換等を実施すべきである。
3.ワンストップサービス機能・人材育成・法テラスとの連携
- 高齢者の消費者被害に対し,高齢者と消費者の委員を兼務させ,共同勉強会や情報交換会を実施することで,ワンストップサービスを実現する。
- 若手の会務離れを防ぐために,司法修習の選択型実務修習において,高齢者問題に関する講座を実施する。
- 法テラスとの連携を図り,資力要件を満たす相談について,法テラスを利用した相談実施し,スタッフ弁護士との連携をはかる。
4.遺言・相続問題の対応
- NPO法人「遺言・相続リーガルネットワーク」と群馬弁護士会との連携を模索する。
5.成年後見制度,高齢者虐待への対応
- 市町村長による成年後見申立を支援し,②高齢者虐待対応専門職チームの活動を支援する。
6.広報活動
- 日弁連作成のパンフレットを関係諸団体に配付し,群馬弁護士会ホームページで広報する。
第2 平成22年1月から12月までの委員会活動報告
- 「事前指示書」に関する講演を実施した。講師は,東京大学大学院 客員研究員箕岡真子医師であり,医療機関を顧問とする弁護士や高齢者問題に対する今後の活動を予定する若手弁護士らが,積極的に参加された。
- 遺言の日の無料法律相談会では,12件の相談を受けた。
- 高齢者虐待対応問題に関し,委員11名が社会福祉士と共同して,「地域包括支援セ ンター」や高齢者施設など各地において講演活動をした。
- 成年後見人選任申し込みが多数に及んだ状況から,候補者要件を満たす弁護士を 改めて募集し,後見人候補者名簿を作成した。
- 日弁連「高齢者社会対策標準事業」の準備として,出張相談担当者名簿の作成を開始した。
第3 群馬弁護士会メンバーの高齢者問題への活動を期待する
- 高齢者問題への弁護士会活動は,大きな転換点を迎えている。にもかかわらず,群馬弁護士会では,それを担う弁護士が少なすぎる状況である。新年の本会報をもって,高齢者・障害者支援センターのメンバーを広く募集したい。
以上
●高齢者問題について
1.目標
「高齢者」をキーワードとした法律問題は多岐にわたっております。群馬弁護士会高齢者・障害者支援センターでは,日弁連の高齢者社会対策本部の展開に対応し,次の課題に取り組んでいきます。
特に,弁護士のもとに相談に訪れることが困難な高齢者の方々に対し,出張相談体制を構築し,高齢者の方々の弁護士へのアクセスを大幅に改善いたします。
- 遺言・事業承継
- 遺産分割
- 消費者被害
- 虐待対応
- 成年後見・任意後見
- 住居(入居金問題)
- 終末期医療(事前指示書)
- 出張相談
2.高齢者問題の現状
① 遺言
- 公正証書遺言の作成件数は,1989年40,935件→2009年77,878件で,20年でほぼ倍増,といったところです。一方,信託銀行の保管・執行依頼件数は,2004年17,533件→2009年68,911件と,15年でほぼ4倍(但し累積数)
② 遺産分割
- 家庭裁判所に遺産分割トラブルが持ち込まれる件数は,1924年から2002年までの間に焼く10倍に増えました(家庭裁判所に遺産分割に関する調停・審判件数)。しかし,遺言が増えても僧俗争いが減少することにはならず,弁護士が遺言作成自体に関わるべき現状が認められます。
③ 消費者被害
- 近年,70歳以上の消費者トラブルの被害が目立っています。全国の消費生活センターに寄せられた消費生活相談件数のうち,契約当事者が70歳以上の方の相談は,2004年度以降10万件を超え,2009年度は117,000件と相談全体の約14%を占めています。

④ 虐待対応
- 2008年度の相談・通報件数:21,692件。
- 虐待を受けた,または受けたと判断されて事例:14,889件。
- 虐待等による死亡事例:養護者による殺人10件,介護放棄による致死5件,心中2件,虐待による致死2件,その他5件で,合わせて24人です。責任主体である市町村に,虐待対応専門職チームの関わりが求められています。
⑤ 成年後見
- 第三者後見人選任件数:全国25,808件(うち群馬県397件,第三者後見人選任率約37%)うち弁護は,3.5%にすぎません。
⑥ 住居(入居金問題)
- 支払った入居金の返還や想定を超えた月額利用料など,有料老人ホームを巡る料金トラブルは絶えない状況にあります。
⑦ 終末期医療(事前指示書)
- 医師からも,終末期の「胃ろう」設置に対し,異論が噴出しており,事前指示書の普及を急務とします。
⑧ 出張相談
- 動くことのできない高齢者の法律問題に対し,福祉関係者やケアマネなどから,出張相談の要望があげられています。
.3.これまでの取り組み
- 2010年1月,終末期医療で事前指示書の普及を目指す箕岡真子医師(東京大学大学院医学研究科客員研究員)を招いての講演を行い,看取り介護,延命治療に対する事前指示書に関する知識を深めるなど,支援センターの弁護士の見識を広めてきました。
- 同年4月には遺言の日にあわせ,一般の方に無料遺言相談を行うなど活動を行いました。
- 同年6月には福島富和氏(群馬県高齢者介護総合センター前所長)を招き,「認知症」の基礎知識と現場における高齢者問題の生の声を聞かせていただきました。
- 同年10月から,その活動を生かすべく,高齢者虐待防止出前セミナー(19施設)に対し,講演を行っております。
- 弁護士と各関係機関(社会福祉士,司法書士)が連携をとり,協議を重ね,現場関係者との間で情報交換を行い,より内情に踏み込んだ内容の濃いセミナーになっております。
4.今後の課題
① 遺言・事業承継
- 遺言書の作成が急増している状況に対応し,当支援センターにおいて積極的にセミナー等を開催し,「争族」の事前対策をいたします。
- 中小企業経営者の高齢化による相続・引退を契機とし,「事業承継」が重要となります。また,「遺言信託」の利用も検討課題です。
② 遺産分割
- 遺産相続のトラブル対策を推し進めます。
③ 消費者被害
- 当支援センターと消費者委員会メンバーとの協力関係を築き,次から次へと発生する新たな悪質商法から高齢者の救済を図ります。
④ 虐待対応
- 社会福祉士,司法書士と連携の上,取り組んでいる高齢者虐待対応専門職チームにおいて,県・市町村等へ積極的に関わり,高齢者虐待に対応していきます。
⑤ 成年後見・任意後見
- 第三者後見選任件数が,従来,弁護士が少なかったことを反省し,若手弁護士を育成し,対応していきます。
⑥ 住居(入居金問題)
- 支援センターにおいて,住居の入居金問題等を取り上げていきます。
⑦ 終末期医療(事前指示書)
- 医師と連携し,終末期医療を専門とする弁護士を育成します。
⑧ 出張相談
- 当支援センターでは,法テラスと協力し,高齢者に対する出張相談を実施し,高齢者とのアクセスを身近にする努力をいたします。

消費者問題対策委員会


